山家早秋 都(と)
山家の早秋 都(みやこの)良香(よしか)
リ後山臨〓近 晴の後(のち)の青山(せいざん)は〓(まど)に臨んで近し
雨初白水入門流 雨の初めの白水(はくすい)は門に入りて流る
【通釈】雨が晴れた後、青い山々が窓に迫って近く見える。
白濁した雨水のさきがけが、門の中へと流れ込む。
【補記】早秋、雨後の山里の景を詠む。「青山」「白水」の対照が鮮やかにして清々しい。
【作者】都(みやこの)良香(よしか)は貞継の子。文章博士となるが、元慶三年(879)、三十六歳で夭折した。漢詩文にすぐれ、和歌も古今集に一首残している。
【影響を受けた和歌の例】
草も木もぬれて色こき山なれや見しより近き夕立のあと(正徹『草根集』)
※写真は写真素材 フォトライブラリーよりお借りしました。