白氏文集卷十九 暮江吟
2010-10-11


禺画像]

暮江吟      白居易

一道殘陽鋪水中  一道(いちだう)の残陽(ざんやう) 水中に舖(し)き
半江瑟瑟半江紅  半江(はんかう)は瑟瑟(しつしつ) 半江は紅(くれなゐ)なり
可憐九月初三夜  憐(あは)れぶべし 九月初三(そさん)の夜
露似眞珠月似弓  露は真珠に似 月は弓に似たり

【通釈】一すじの残照が水面に敷き伸べられ、
大河の半ばは碧、半ばは紅の色。
なんと心に沁みることよ、九月初三の夜は。
露は真珠のように光り、月は弓のように天に掛かっている。

【語釈】◇瑟瑟 碧い宝玉の名であることから、青々とした色を言う。◇初三 陰暦の月の三日。

【補記】第三・四句が和漢朗詠集巻上秋の「露」部に引用されている。露を真珠(白玉)に喩える趣向は殊に王朝歌人に好まれたが、六朝時代の詩に既に見えるもので、特に掲出詩が強い影響を与えたとは思えない。実隆の歌は「月似弓」の句題和歌。

【影響を受けた和歌の例】
白露を玉になしたる長月の有明の月よ見れど飽かぬかも(作者未詳『古今和歌六帖』)
問はばやな真弓つき弓月影はいかなるしなか有明の空(三条西実隆『雪玉集』)

[和歌に影響を与えた漢詩文]

コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット