佐佐木信綱編『和歌名所めぐり』九州63 白川
2018-05-20


禺画像]

阿蘇白川 水源附近

補録

白川

阿蘇山に発し、熊本市内を流れて有明海に注ぐ。

筑紫の白川といふ所に住み侍りけるに、大弐だいに藤原興範おきのりの朝臣のまかりわたるついでに、水たべむとて打ち寄りて乞ひ侍りければ、水をもていでてよみ侍りける

檜垣嫗ひがきのおうな(後撰集)

年ふれば我が黒髪も白河のみづはぐむまで老いにけるかな

(注:「白河のみづはぐむ」、「(黒髪が)白くなる」「白川の水は汲む」「瑞歯ぐむ」の掛詞。「瑞歯ぐむ」は老いて一度抜けた歯が、長寿の末に生え替わる意。)

肥後国の白川をわたりて
細川幽斎

ながれてのなほ行末を頼むかな身は白川のあはと見ながら

(注:「泡(あは)」に「彼(あ)は」を掛ける。「あれは」の意にも、はっと気づいた時などに発する感嘆詞(「ああ、さては」)としても遣われた語。)

安永蕗子

町なかを流れやがては南下する徐調白川当面の老おい

ふりかへる阿蘇山間を端として水の白川未明の白霧はくむ

(注:安永蕗子〔1920-2012〕は熊本出身の歌人。生地は白川の右岸という。)

[和歌名所めぐり]

コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット