写真は葛城山。写真ACフリー素材。
大阪市の東南にあたりて遠望すべし。楠公が千早の城址はその西面の山ふところにあり。
(水垣注:「葛城や高間の山」と詠まれた「高間の山」が金剛山の古称とされる。花の名所として歌に詠まれたが、今も山頂は桜の名所である。)
千早ぶる敵あたを千早にふせぎけり神代もきかぬことはかりして
金剛山の北にこれと連立せり。
(水垣注:古歌などに「葛城や高間の山」といった呼び方がされているので、「葛城山」は金剛葛城連山の総称とも考えられている。桜の名所。なお今「葛城」を「かつらぎ」とよむが、古くは「かづらき」とよんだ。)
かつらぎや高まの山の峯の寺さむき日かげに花もさきけり
白雲のこころや空にみだるらむかつらぎ山の峯のあき風
よそにのみ見てややみなむ葛城かづらきや高間の山の嶺のしら雲
葛城や高間の山のさくら花雲ゐのよそに見てや過ぎなむ
雲さそふ天あまつ春風かをるなり高間の山の花ざかりかも
葛城かづらきや高間の桜咲きにけり立田の奥にかかる白雲
かづらきや高間の桜ながむれば夕ゐる雲に春雨ぞ降る
いつかその雲をしのぎしあととめて我も高まのやまと言の葉
天の下はらふ千早の一おろし神とも神のしわざなりけり
桜花咲きぬるときは葛城の山のすがたにかかる白雲
白雲のたえまになびく青柳のかづらき山に春風ぞ吹く
うつりゆく雲に嵐の声すなり散るかまさきのかづらきの山
白雲や花よりうへにかかるらむ桜ぞたかき葛城の山
すげ笠にあるべき歌と強ひゆきぬ若葉よ薫れ生駒葛城
雲を見ず生駒葛城ただ青きこの日なにとか人を咀はむ