宮崎・鹿児島県境、霧島連山の一峰。円錐状の成層火山であり、二つの寄生火山を従える。天孫降臨伝説の地として名高く、山頂に天あまの逆鉾さかほこが立つ。鹿児島県霧島市の霧島神宮古宮址の近くに登山口がある。
たかちほのくしぶる峰ぞ仰あふがるる天あまの鈿女をずめのはじめと思へば
(注:「たかちほ」を「たけちほ」とする本もある。天の鈿女は、天鈿女命あまのうずめのみこと。天の岩屋戸の前で踊った女神。天孫降臨の際には、天の八衢やちまたに立っていた猿田彦神を懐柔し、道案内をさせた。)
皇神すめかみの天降あもりましける日向ひむかなる高千穂の岳たけやまづ霞むらむ
高千穂の二上ふたかみ見ればすめがみの天降あもりましけむいにしへ思ほゆ
高千穂のすずのしの原打ちさやぎなびくと見れば霰あられ降るなり
大空のみはしとなりて皇神に仕へまつりし山にやはあらぬ
高千穂の峰ほのぼのと青みたり神の笑ゑらぎも聞きぬべきかな
神代のごと遠く思ひし高千穂の高嶺近う来てわが立つものか
辷すべり倒たふれそのまま居りて一人なりしんしんとして深き山かも
大きなるこのしづけさや高千穂の峰の統すべたるあまつゆふぐれ
高千穂の山のいただきに息いきづくや大きかも寒さむきかも天あめの高山たかやま
高千穂の山にのぼりてその山におこるさ霧ぎりを吸ひたるかなや
高千穂はおのれそそりて高天の真澄にさびし焼山のいろ
おのづから霧ふきはれて雪かづく高千穂の峰は月夜となりぬ